英文法学習のコツ

まずは1冊:教材選びの基準

まずは『参考書選びのコツ』という記事を参考に、ご自身の取り組みたい勉強内容がまとまっている本を選んでください。

上の記事は、現時点での自分の実力と伸ばしたい能力に応じて、ご自身が「最後のページまで取り組めそうだ」と思ったものを基本に1冊選ぶことを心がける…というものでした。

語彙学習と紐付ける

選んだ文法の参考書は、語彙学習と並行しながら取り組むと、より一層、効果が期待できます。まだお読みでなければ、こちらの英単語学習の記事もご覧いただければと思います。文法学習に役立つはずです。

上の記事を要約すると、①用例を読み込む、②発音を取り入れる、③反応速度を心がける、④自分で実際に組み合わせを考えてみる、⑤気長に構える…でした。

可能であれば、こちらの熟語の記事も読んだ上で本稿をお読みください。

本題

前置きが長くなってしまい申し訳ありませんでした。しかし、上3つの記事は、筆者が最も大切にして欲しい事柄でしたので、先に引用いたしました。今回の記事は、いよいよお待ちかねの「英文法」です。挫折を味わった人も多いのではないでしょうか。

まずは騙されたと思って、紙とペンを用意し、以下1~6の日本語の表現を英訳してみてください。もちろん、考えるだけでも結構です。なお、3まではヒントを付しています。

ミニクイズ

  1. 踊っている犬 
  2. テーブルの上で踊っている犬 
  3. その犬は、テーブルの上で踊っています。
  4. テーブルの上で踊っている犬は、私の犬です。
  5. テーブルの上で踊っている大きな犬は、私の犬です。

解答

  1. a dog
  2. a dancing dog
  3. a dog dancing on the table
  4. The dog is dancing on the table.
  5. The dog dancing on the table is mine [my dog].
  6. The big dog dancing on the table is mine [my dog].

小さな単位を発見する

一般的に「文法」とは、文や語句を組み立てる上でのルールのことです。

「文法が苦手」という人は「文法」と聞くと、関係代名詞や仮定法のような、一種の「構文」を考える傾向にあるようですが、”a dog” や “the dog” のような短い表現にも決められたルールが存在しています。

英語学習は、そういった小さな単位から丁寧に積み上げていくことが大切です。ここで述べる小さな単位とは「意味のある組み合わせ」を指します。

それを発見するということは、具体的に言えば、形容詞+名詞であったり、主語がどこまでで、動詞がどれで…というような、構造や仕組みを分析するということです。これをメタ言語能力といいます。

24時間、四六時中、特定の言語の環境に囲まれて育ってきた人は、自分の言語に対して自分の言葉で説明(あるいは思考)する能力を必要としなくても、日本語の環境にあれば日本語、英語の環境にあれば英語を使えるようになります。

しかし、そういった環境のない外国語学習者は、元々自分が持っている言語と学習対象の言語とを比べて自分なりのルールに落とし込んだり、その学習対象の言語に対して何かしらの説明を与えたりできれば、目標に掲げている言語の習得を有利に進められると言われています。

日本語と英語の相違点を発見する

ミニクイズで使用した単語は、日本語でも誰もが知っている英単語であり、学校でも見かけたことのあるような単語であるはずです。

しかし、これら文法を苦手としている学習者は、組み合わせの応用が利かせられていない可能性があります。上の例題を参考にして「組み合わせ」について考えてみましょう。

1~3:語句レベル

英語における語句レベルの組み合わせは、日本語と共通する部分があります。

限定詞+名詞、名詞+名詞、形容詞+名詞の組み合わせに見られ、ミニクイズの1、2番の組み合わせがそれにあたります。

  1. a dog
    ある犬、一匹の犬
  2. a dancing dog
    踊っている犬

英語と日本語を見比べてみれば、並び方が同じであることが一目瞭然ではないでしょうか。冠詞(a)は日本語にない表現なので慣れるまでに時間がかかるかもしれませんが、この規則は、余程のことでもない限り、単語が変わっても崩れることがありません。

意味さえ通れば自由に組み合わせられます。一方、ミニクイズの3番の組み合わせは日本語と少し異なる点に注意しなければなりません。

  1. a dog dancing on the table
    テーブルの上で踊っている犬

直訳すると「犬、踊っている、テーブルの上で」となります。日本語と英語の語順は、まるで互いを鏡に映したような関係となっており、どこで何をしている犬なのかを表す時はこのような語順になります。

これも最初は慣れるまでに時間がかかるかもしれませんが、一度、要領を得ることができれば、あとは単語が変わっただけです。

こういった語の並びになる表現は他にもありますが、こちらも別の記事にてまとめておきます。最後にもう1つ例を付しておきますので、確認してみてください。

  • a man walking in the park
    公園で歩いている人

4~6:文レベル

小さな意味のまとまりを見つけられたら、あとは「文」に落とし込んでいくだけです。

今回は「AはBである」という文なので be を使う文ですが、とても簡単です。ミニクイズの3番と4番を比較してみましょう。

  1. a dog dancing on the table
    テーブルの上で踊っている犬
  2. The dog is dancing on the table.
    その犬は、テーブルの上で踊っている。

4番の文は、3番の文に be(今回は is )を追加しただけであることが分かります。ミニクイズの5番のパターンも見てみましょう。

  1. The dog dancing on the table is mine.
    テーブルの上で踊っている犬は、私のです。

このように、小さな意味のまとまりさえ見つけられたら、文の仕組みが見えやすくなるはずです。文法学習を苦手としている人は、新しく学習しようとしている内容が理解できないのではなく、今まで学習してきた内容が理解できていない可能性があります。

たとえ英文の表現が長くなっても、複雑に見えたとしても、この「意味のまとまり」と「基礎的な文法」さえ押さえられていれば、あとは練習次第で克服できるはずです。

解説を読み過ぎない

解説は、理解の助けにするようにしてください。解説は日本語で書かれているため、それを読むことが英語力を引き上げるわけではないからです。

もちろん、この英語学徒.comの記事も読み過ぎないように。あくまでも参考書なので、英語学習の手助けとしてご利用ください。意外にも見落とされている点だったりします。英語力を引き上げたければ、英語に触れてください(自戒)

また、文法は他人から教わるものではありません。本を参考に、あくまでも自分なりのルールを発見してください。

さて、今回は簡単に “-ing” を使った文を例に話しましたが、関係代名詞を扱おうが仮定法を扱おうが、どういった英文にも当てはまることです。

大学受験も英会話も、基本を徹底するだけで飛躍できます。そのために、記事を参考にまずは1冊、自分のレベルに合わせて(音声付きの)参考書に取り組んでみてください。

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