この記事を読む前に
「ライティングができません」という声をよく耳にしていましたが、不慣れである場合を除き、ライティングが苦手な人は、ライティング以前の学習の仕方を修正する必要がありそうです。
その方法の要約を以下にまとめていますので、まだ読んでいなければ、これらを読んだ上で、本稿をお読みください(見出しから任意の記事にジャンプできます)
単語学習について
そもそも単語を知らなければ書くことができません。中々単語の勉強が上手くできないという人は、用例を確認するなど、適切な単語学習ができていますか。自信がないのであれば、ご一読の価値があるように思います。
熟語学習について
ライティングの時の心強い武器となり得るのが熟語です。特に、動詞+前置詞(句動詞)を知っているだけでも表現の幅が大きく変わってくると思います。
また、熟語は「語と語を組み合わせた表現」なので、文を組み立てる上での土台を築くことに繋がります。自信がなければご一読ください。
文法学習について
文を書くためには、言うまでもなく、英語の文法を知っていなければなりません。ひょっとしたら、ライティングが苦手なのではなく、表現の仕方を知らないだけかもしれません。心当たりがあれば、ご一読ください。
リーディング学習について
適切に読めていれば(訓練次第では)適切に書くこともできるはずです。少し厳しい言い方になるかもしれませんが「速く読んで選択肢をマークすること=英語を読めていること」という勘違いをしてはなりません。
ライティングは、自分が読めるように書けばよいはずです。それができないのであれば、リーディングの勉強を改める必要がありそうです。
また、リーディング学習を量こなしていれば、たくさんの英語表現を吸収できているはずです。膨大なインプットも、アウトプットには必要なのです。
リスニング学習について
こちらの記事で、リスニングの学習方法の1つとして「ディクテーション」を紹介しました。
ディクテーションは、聞こえてきた音を何も見ないで書き起こす学習方法です。
何度も同じ表現を聞き直しますし、聞こえてきたまま文に起こすのでライティングの基礎訓練にもなります。
和文和訳
英作文に取り組むにあたって、お題の問題文や自分が考えている日本語に該当する英語表現が分からない…といった経験を一度はされたことがあるはずです。
そういった人に勧めているのが「和文和訳」という考え方です。漢字表記の通り「日本語を別の日本語に言い換える」という考え方です。その和文和訳の前に、まずは試しに以下の日本語を英訳してみましょう。
- 私が飼っている犬
- 彼が経営している農場
- 彼女が作った音楽
考えてみましたか? 以下、解答です。
- my dog
- his farm
- her music
皆さんの解答はどうなっていますか。もちろん、関係詞を使っても構わないのですが、恐らく、英語を使って生活している人々の多くは上のように言うはずです。
とりわけ、2番の「経営する」という日本語に引っ張られた人は少なくないはずです。
しかし「彼が経営している農場→彼の農場」という発想をすれば、なんてことのない英語表現です。
「私が飼っている犬→私の犬」も「彼女が作った音楽→彼女の音楽」も同様の考え方です。
あくまでも一例に過ぎませんが、これらの表現以外にも積極的に和文和訳をして言葉の意味を引き出し、そこから自分ができる限りの英語表現に挑戦してみてください。
主語と動詞を押さえる
英作文で困る2つ目のポイントは、主語と動詞です。まずは、以下の日本語を英訳するつもりで分析してみましょう。
- キリンは首が長い。
- 昨日の夜、熱がありました。
- 決して未来のことは分からない。
少し難しく感じた人もいると思います。以下は模範解答です。
- Giraffes have long necks.
- I had a fever last night.
- You (We) never know the future.
先ほどの和文和訳の応用です。また、英語は主語を目に見える形で置きます。まずは、この2点を意識してください。
複数形や時制でミスしている場合は、基本的な文法項目の復習が必要です。その復習の仕方も、ライティングを通して確認していくと良いでしょう。
先ほどの和文和訳を応用して「キリンは長い首を持っている」「昨晩は熱を持っていた」「君は未来のことが分からない」と、問題文を言い換えてしまいます。
この英語的な発想に慣れる必要がありますが、最初の内は、英文は「主語」と「動詞」の2つが必ず置かれると意識して文を案出してみてください。
丸暗記するのではなく、分析して理解に落とし込み、感覚的に吐き出せるようになるまで練習を繰り返すようにしていれば、いつの間にか、ライティングが得意になっているはずです。
意味のまとまりを押さえる
こちらの文法学習の記事で、小さな単位から徐々に組み合わせる話をしました。その際、英語と日本語の相違点に着目すると良いのですが、以下のような意味のまとまりを意識して英語表現を試みてください。
- 読書
reading a book - 読書している女の子
a girl reading a book - 部屋で本を読んでいる女の子
a girl reading a book in her room - 部屋で本を読んでいる女の子は、私の妹です。
The girl reading a book in her room is my sister.
「相違点を考える」というのは、違いだけでなく同じ点も考えることを言います。
この場合、英語と日本語の同じ点は、1番の「読書」のように、単語が異なるだけで並べ方は一緒である点にあります。
他にも、‘my sister(私の妹)’ や ‘her room(彼女の部屋)’ のような表現は日本語と同じ並びになっていることが分かります。
一方、2番と3番の表現は、日本語とは異なる並びになっています。日本語が前から具体的に説明を加えていくのに対して、英語は、どこで何をやっているのかに関しては後ろにぶら下げて説明を加える点に特徴があるようです。
4番は、3番を理解していれば日本語と同じ感覚で組み合わせることができます。
‘is’ を使う文は、とても簡単に読み書きできるようになるはずです。
こういった意味のまとまりを意識して学習を心がけましょう。どれだけ英文が複雑になっても(基本的には)変わりがありません。
論理構造を押さえる
接続詞構文
文章(複数の文から成立するもの)を書くことになった場合、避けて通れないのが「接続詞」です。
接続詞は、語と語を組み合わせるだけでなく、文と文を組み合わせるために必要な要素です。
詳細は「接続詞」にて解説を加えますが、ライティングが不得意であれば、接続詞の復習も検討してみてください。
段落の構造
まとまった、説得力のある文章を書く場合、段落の構造を意識しなければなりません。言いたいことを言うだけでは、建設的な議論ができないからです。
対立する側の主張を上手く取り入れながら、自分の意見を述べるように心がけましょう。基本的には、1つの段落に対して1つの話題を提供するようにし、以下の1~4の箇条のような肉付けを意識するとまとまりやすいです。
- 主張(話題)
- 自分の言いたいことや、段落のテーマ
- 理由、根拠
- その主張の理由や、テーマの根拠
- 譲歩
- 相手の主張で納得できる部分を取り入れる
- 自分の主張の弱点を打ち明ける(段落を変えて補強すると◎)
- 結論(主張)
- 主張の言い換え
- 扱う英単語や表現を変えると良い
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不思議なことに、論理構造は日本語と同じなので、日本語の感覚で英文を並べるようにすると良いです。
つまり、英語で文章を書くことが苦手な人は、日本語で文章を書くことも苦手としている可能性があります。自信がない場合は、日本語で書く練習も取り入れてみると良いかもしれません。